リアル!ビバンダム

yuki26

10月に雨が降ることが多かったからか、11月に入って晴れる日が多いと
嬉しくて張り切って布団を干してしまいます。

冬のお日様ってぽかぽかで気持ち良い!

留学した時最初に迎えた冬は、本当に地獄でした。
何十年かに一度の寒波、とかで(と、記憶しています)
最高気温0度、最低気温マイナス2度とか…。
一日中晴れ間がない、常に寒くてずっと早朝の状態が続く、みたいな(笑。

ニュースでの体感温度はマイナス10度とかだったな。(確か…)

当時、突発的に「留学する!」と決めたので

語学はおろか、住む場所も決まっていないまま
フルート背負ってスーツケースひとつで
フランスに渡ったのです。

ヨーロッパの冬を舐めていた…!

最初、パリ郊外の屋敷みたいな一軒家の屋根裏部屋を借りたのですが
(友達には魔女の宅急便みたいと言われました)
まさかの、屋根裏に、暖房がない!

日本みたいにちゃんと隙間なく扉が閉まるわけではなく
冷たい風がピューピュー入ってくる窓。
そして歪んでいる床。曲がった屋根の梁。

まあ趣のある家でした。

あまりにも寒いので、門下の子から借りた
小さい電気式の暖房器具を付けたら
屋敷全体の電気がショート!
何度停電を招いたことか。

お風呂もバスタブはあるけどお湯を張れる量が出ないので
極寒のシャワータイム。

夜もうっすい毛布しかなく
リアルに眠れなかった…

胃から震える寒さというのを初めて経験しました。

家主のマダムに
「寒くて寒くて」と話したら

「冬は寒いものよ。当り前よ。それより食べなさい!いっぱい。」

と、道場のようなことを言われました。

最低限の設備で冬を越すのですね、フランスの昔からの家は。

凍死するのではないか…というプチ恐怖と共に
渡仏1年目の冬を過ごした記憶があります。

その後、パリ郊外からパリ市内へ引っ越し。
計3回くらい引っ越ししているのですが
パリ市内に来ても、
ビンボー学生は暖房器具が備わったお高い部屋は借りることが出来ず。
アパルトマンの屋根裏部屋の常連で
毎回迎える冬は、部屋の中でもダウンを着て、手袋をはめて
ミシュランのビバンダムのような出で立ちで練習した記憶があります。

そんな貧乏極寒生活をしていると、

音楽のために私はここにいるのだ!

という確固たる思いと

様々な作曲家が苦境の中から名曲を生み出した、
そういう背景に想いを重ねて、より深く音楽を理解できる感覚になります。
(いや、私の苦境なんて大したことないんだけど。)
彼らの想いを憑依させるというか。作曲家の魂を感じるというか。

とっても幸せな境遇で生まれる音楽もあるけれど
名だたる作曲家の生い立ちなどの文献を読んでみると
多くの曲が色々な苦境に立たされた時に
生まれているんですよね。

物語に出来そうな波乱万丈な彼らの人生を読んでいると、
色々な経験が血となり肉となり
希望の結晶となって音楽が生み出されていく。

そう考えると演奏家として曲を再現する立場の私も
色々な経験をすることは、意義のあることなんだよな、と思うことができて
極寒でも心は温かく!を心掛けて過ごしていました。

帰国して、なんといってもありがたいのが
湯舟にお湯を張って入るというお風呂文化ですね。

日帰り銭湯なんてサイコー!
こんな水圧感じちゃって良いんですか―!とにやけます。

あとは、暖かい日にお布団が干せるのもサイコー!
パリは景観があるので洗濯物はおろか
窓から何かを干すなんてできないのです。

こういうちょっとした制限というか、日常のままならないことって
利便性が推奨される現代社会ではなかなか経験しないことだけど

ままならないから、こうしてみよう!という知恵や工夫、
こうしたい!こうなりたい!という欲求をもつことは
生きていく上で必要なエッセンスだと私は思います。

全てが思うままに、便利でなんの不自由もない暮らしだったら
本当に人間は自堕落になる気がする。

ちょっと前から流行っている田舎暮らしとか、
自給自足生活なんかも
人間の原点への欲求の現れなのかなと思ったりもします。

不便とか、思い通りにいかないことって悪いことに思われがちで
排除しようとする傾向にあるけれど、一概にそうではないんですよね。

どうにもならない思いや環境
そこから生まれる音楽や表現を愛おしいと感じられるようになりました。

音楽には人が出る。
色んな経験は、本当に宝だ。

そういえば、
帰国直前の冬は、ヨーロッパの冬に慣れたのかな、
寒いけど、別にそこまで震えなくなったな、と思ったら

5キロくらい体重が増えていた・・・・・!!!

リアルビバンダム!!

現在も絶賛ダイエット継続中です泣。

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