たかはしゆきのフルート講座 Lesson 2として
今回は「初心者向け、楽器の選び方」についてお届けします。
クラシック初心者向け楽器の選び方
クラシック音楽で演奏される楽器にはどんなものがあるでしょう。
クラシック音楽を主に演奏する団体として、オーケストラが挙げられます。
オーケストラが演奏しているところを思い浮かべてください。
オーケストラの楽器は主に以下の3つに分類されます。
①弦楽器(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスなど)
②管楽器 木管楽器(ピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエ、ファゴットなど)
金管楽器(トランペット、トロンボーン、ホルン、テューバなど)
③打楽器(ティンパニ、スネアドラム、バスドラムなど)
稀に鍵盤楽器(ピアノ、チェレスタなど)が加わることがあります。
メロディーを奏でることが多いのは、ヴァイオリンやフルート、トランペットなどの高音域の楽器。
縁の下の力持ちとして、全体を支えるのがコントラバスやテューバなどの低音楽器。
ハーモニーを創る楽しさとメロディーの両方を味わうことが出来るのがヴィオラやチェロ、クラリネットなどです。
それぞれの楽器はもちろんソロでもアンサンブルでも活躍しますが、
オーケストラの中での役割を考えてみると、自分に合った、やってみたいと思う楽器が
見つかるのではないでしょうか。
フルートの種類を簡単にご紹介!
フルートにも様々な種類があり、一般には「フルート族」と言われます。
フルートの家族だと思ってください!大きさも出る音域も様々です。
<ピッコロ>
楽器の長さがちょうどフルートの半分の長さで、フルートより1オクターブ高い
音域まで奏でることが出来ます。ちなみにピッコロとはイタリア語で「小さな」という意味。
(ドラゴンボールのあのピッコロではないですよ!)
<フルート>
一般的に演奏されているのがこのフルートです。正式にはコンサート・フルートとも言います。
最低音がドの音なのですが、足部管が少し長いタイプのフルートではその1音下のシまで出ます。
<アルトフルート>
フルートよりも5音下の音域まで出ます。長さはフルートの約1.5倍ですが、重さは約2倍。
甘く、憂いの帯びた音が出ます。
<バスフルート>
特徴は何と言っても歌口がU字形になっていること。何故なら、フルートより1オクターブも低い音を
奏でるため管の長さはフルートの約2倍。もはやキーに手が届きません。管体自体も太く、重さも約3.5倍。
この他にも、ソプラノフルート、コントラバスフルート、フルートダモーレなどレアな家族もいます。
フルート族だけでアンサンブルも出来、「フルートオーケストラ」とも呼ばれます。
初心者のフルート選び、ポイントは
選ぶ時のポイントを3つ挙げてみます。
その1 材質
現在多く流通しているフルートの多くは「金属製」です。
分類は木管楽器なのに・・・。その話は追々しますね。
一般的に鳴らしやすい順としては
白銅→洋銀→銀→金→プラチナという順番でしょうか。
ちょうどお値段もこの順に高くなっていきます。
白銅は洋銀よりも価格も求めやすく初心者には音も出しやすいです。
しかし音楽を奏でるための音の旨味や深さがあまりないように感じます。
洋銀以上で始めることをおススメします。
また、初めから金やプラチナのフルートを買う事はまずおすすめしません。
抵抗が大きく、鳴らすまでにかなりの労力を要します。
よって、初心者は洋銀製、銀製フルートあたりが良いでしょう。
メーカーによっては、歌口のリッププレートは銀製で、管体が銀製のもの、
またその逆で作られているものもあり、組み合わせによって音も違います。
先生や楽器店の専門の方に吹いてもらい、自分の耳で違いを実感してみると面白いでしょう。
その2 カバードキーかリングキーか
フルートは身体の右横に構える楽器です。初心者にとって難しいのが構えた状態で
きちんとキーを塞ぐことでしょう。
フルートのキーには2パターンあり、キーの真ん中がくり抜いたように空いているリングキーと
塞がっているカバードキーがあります。
一番コントロールが難しい左手の薬指がどの程度フルートに届くかにもよりますが
最初はカバードキーでスタートするのが無難です。
音の抜け感はリングキーの方が断然良いです。
その3 Eメカがついているか
現在のフルートは第3オクターブのミの音が出しにくい設計になっています。
そこで、この秘密のEメカというものが既に内蔵しているフルートを選びましょう。
フルート 楽器のおすすめベスト3!
初心者におススメするフルートメーカーですが、
国産のメーカーはとても優秀です。
実際に私が吹いたことのあるフルートメーカーを中心に挙げてみます。
①アルタスフルート
独自の設計でこだわりを持ってフルートを作っている会社です。
私の最初の相棒もこのアルタスフルートでした。
他のフルートと比べ、キーが若干大きめで塞ぎやすく、歌口も安定感があります。
真っすぐで自然な響きのする初心者向けのフルートと言えます。
②村松フルート
初心者でも長く音楽を続けていきたいという人が多く使っているメーカーです。
もちろんプロ奏者からも愛されており、海外でもよく知られています。
楽器自体の安定感はもちろんのこと、細部に渡り精密に作られています。
③パールフルート
友人が愛用していて一度吹かせてもらったことがありますが、
柔らかく繊細で優しい音色のするフルートです。また抵抗感が少なく
音が出しやすかったです。
フルートメーカーとして歴史も古いので、様々なタイプのフルートがあり
価格帯も選びやすいでしょう。
私のイチオシ!フルートはこれ!
私の今の相棒は3代目なのですが、
アメリカ出身の「ブランネンフルート」というメーカーです。
あまり細部まで書いて、襲われたら嫌なのですが・・・
さわりだけ紹介します。
材質は金です。
2代目の楽器が総銀にプラチナメッキというこれまたスペシャルな楽器だったのですが
総金製の楽器を最初に持った時の感想は
「お・・重い」
でした。
キーはリングキーで、Eメカ付き、足部管はシの音まで出る
H足です。
なぜブランネンフルートにしたかと言うと・・・
留学中、演奏会でなんて艶やかな音色なんだろう・・・と
奏者が何のメーカーを使っているのかを聞いたところ
「ブランネン」
アメリカのクラスに参加した時のこと。
なんてパワフルで、それでいて豊かな響き、全てを網羅している・・・と
先生が使っているフルートメーカーを聞いたところ
「ブランネン」
あるCDを聴いて、紡がれる音楽に感動してふとCDジャケットを見ると
使用楽器「ブランネン」
もちろん全て同じ「音」がしたわけではなく、
そこから出る「音楽」に感動した記憶があります。
奏者のやりたいことを最大限に発揮してくれる信頼感を感じました。
もう、これはブランネンフルートしかないでしょう!ということで
自分の感覚に近く、求めている音があったため決めました。
ちなみに、細かいこだわりなどがあったため
オーダー製です。
最初は総金製のフルート、
吹いていてすごい抵抗感でした。
体力も息の量もかなり必要。
でもその分、全てを受け止めてくれる楽器だと感じました。
また日に日に色々な表情を見せてくれる楽器なので
共に音楽の道を歩んでいる、まさに「相棒」と呼ぶに相応しい楽器です。
楽器との向き合い方、大切なことは
楽器を扱う時は自分の身体の一部だと思いましょう。
日頃の扱い方で、定期的なメンテナンス時の負担も減らす事が出来ます。
持ち運びの際には、必ずケースにしまい、クッション性のあるカバンなどで
保護しましょう。
私は楽器専用のリュックに入れて、固定して持ち運んでいます。
移動の際の振動で狂いやすいとも聞いたことがあるので
安定して、身体に密着して運ぶことができる方法を考えてみましょう。
練習が終わったら、専用のクリーニングロット(掃除棒)に
柔らかいガーゼなどを巻き付け、
管内の水滴を取りましょう。
タンポ(キーの裏側)にも水滴がつくことがありますので
専用の「クリーニングペーパー」で水滴を取りましょう。
ちなみに、海外で師匠がクリーニングペーパーのことを
「Papier de cigare」=「たばこの巻き紙」と言っていて
へえ、それでもいいのか!と
思った記憶があります。
水滴を取ったあとは、細部に気を付けながら専用の柔らかいクロスで
指紋や汚れなどを綺麗に拭き取ります。
キーは支点から外側に向けて一方向で拭くようにすると良いでしょう。
故障の原因として、休憩中などにフルートを出しっぱなしにすることでのトラブルが
多いようです。
長い休憩の際には、必ず安全な場所に置くか、一度ケースへしまうことを
おすすめします。
共に素敵な音楽の旅へと歩んでいく大切な大切なフルートです。
扱いのコツをしっかり掴んで、丁寧に愛を込めて触れていきましょう。