人間って

フルート音楽教室

過日の台風19号により、多くの地域が甚大な被害に遭いました。
被災された地域の皆様、心よりお見舞い申し上げます。

そして、私の地元も大変な被害を受けてしまいました。

台風の接近に伴い、鳴りやまない警報アラームと
激しい風雨の音、本当に緊張の連続でした。

私の家の近所では夜中に川が決壊する恐れがあったので
垂直避難で荷物を運び、大事なフルートを抱え
不安な一夜を過ごしました。
(逆に暗い中避難をした方が危険とのこと⚠)
ハザードマップも頼りになりました。

一夜明けて、、、
いつも買い物をしていたお店や、文化施設が被害に遭い
辺り一体の住宅が浸水、線路が宙吊りになってしまいました。
また農業用のテントの火災が起き、報道ヘリが飛び、
見慣れた街が変わり果てた姿になっていました。

私の家は幸いにも無事ですが、
すぐ近所では道路が冠水、道のガードレールには農業用の藁が絡みつき、
至る所に流されてきた車や、大型の荷物が散乱。
自動販売機に至っては、ひっくり返っていました。

その光景を見ているだけで息を吸うのが浅くなって、胸が痛くなりました。
とても自分が無事だったから良かったなんて思えない光景の数々。

こんな惨状が、
報道されているだけでも、各地で起きてしまっている。
報道されていない場所もまだありますよね?
自然災害の脅威に震えます。

水が引いてから各地の被害も明らかになり、
親戚や友人、知人とも連絡が取れ始めたので
出来る範囲で今、手伝いに行っています。

床下浸水も酷いですが、
床上浸水は本当に悲惨です。
川の泥水なので、粘り気があって、なかなか取れない。

親戚の家では、洋服タンスや、食器棚の下も泥が染みているので、
全部中身を出して、
家具の底の泥を洗浄、乾燥、消毒まで行いますが、
結構木のものはベロベロになってしまっていたり
反ってしまうので、大変です。

こんな大変な時でも、
親戚は悪い悪いと気を使って、
色々明るく話してくれたり、
泣きたいのは被害に遭った方なのに、
こちらへの気遣いまでしてくれて
涙が出てしまいます。

親戚の地域では、一人暮らしや年配のご夫婦のご家庭も多く、
人手が足りていない状況。
一軒の掃除をするにも、何日もかけて
大仕事が続きます。

祖母がお世話になった知人のお宅では
もはや片づけも諦めて、家を手放すことになりました。
長年住み慣れた、愛着ある家を突然失うなんて
こんなことってあるのでしょうか。

健康で、体調管理もできる方は、
「災害ボランティア」とその地域名を入れると手続きが分かりますので
ぜひ、力を貸してください。

話しは過去に遡りますが
未曽有の被害が出た3.11東日本大震災の時には
私はパリにいました。

朝、学校に行く前にニュースを見た衝撃は忘れられません。
時差もあり
実家とも連絡がつかず、
何をどう歩いたか呆然とメトロに乗った記憶だけがあります。

朝からのレッスンで、
一音吹いた瞬間に不安感からか
自分で抑えられないくらい涙が止まらなくなってしまい、
実家のこと、東北の親戚のことが心配で
取り乱してしまいました。

師匠が話を聞いてくれた後に、
「どんな事が起きたって、音楽を奏でなさい。
本当の音楽家になりなさい」
言ってくれた言葉が忘れられませんでした。

学校からの帰り道では、更に追い打ちをかけるように
私がぼーっとしていたのが悪いのですが
メトロで有名な「スリ」に遭いました。

階段を上がっている時、リュックが今日はやけに重いな、
疲れてるのかなと思いふと後ろを見ると
リュックが空いて、人の手が!!!

恐ろしかったです。

それから、私はスリを追いかけて
当時フランス語は分からなかったから
「返して!!」とジェスチャーと大声で一瞬スリと対峙しましたが
なにかごにょごにょと言われて
はぐらかされました。
(あれ以上私も粘ったら、それこそ刺されそうだったので諦めましたが
一石は投じた!)

結局盗られたのは、筆箱で
お財布とか滞在許可ではなく良かったのですが
母が手作りで作ってくれてお守りのように使っていたもの。
よりによって震災が起きた今日に盗らないでよ!

パリの洗礼を受けた日でした。

日本で大変なことが起きているのに、
当たり前だけどフランスの社会は正常に動いていて(スリは正常じゃないけど!!)
自分だけ取り残されてしまった疎外感、
そして
弱っている、覇気がない人の隙をついてくる犯罪の非情さに
心が追い付きませんでした。

今回の台風の被害で、遠方の方も心配してくださるのですが
本当にありがたく、頑張ろうと思えます。

私も海外にいた時に思ったのですが
近くで大変な事が起きていたら、やっぱり動いて助けたい。
でも、それが叶わないなら
自分が今やるべきことを、いつも以上に心を込めて丁寧に行う。
勉強でも仕事でも。

そして、周りの人たちに少しだけ優しさを持って関わろう。
自分の周りで、ちょっとだけ良い循環を作ろう。

今私は、自分のすぐ近くで大変な被害が起きているので
実際に動けますが、
自分が元気じゃなかったら助けにも行けません。

そして災害の時だけじゃなくて、
日頃から、良い意味で人に関心を持って、助け合いたいものですね。

間違っても、私利私欲のためにお金を使ったり
心を寄せているようでも、結局自得の行動になってしまったり
そんな人間にはなりたくないと思います。

人間って温かいな
人間って優しいな

と思う反面

こういう非常時の時にその人の本質や人間性が剥き出しになる気がします。

長くなりましたが、
身体もそうだけど、心も疲れました。
こういう時の心の栄養こそ、
音楽って効果てきめんなんです。
私はそう思っています。

地域が元気になるように、
良い音楽を奏でたい!!

自分も元気になるように、笛を吹こう!

皆さん、それぞれに頑張りましょう!

6件のコメント

  1. 先日被災地にボランティアに行った際、被災された方が笑顔で対応してくれましたが、隠し切れない辛さや悲しみのある表情がとても印象に残りました。自然には太刀打ちできない、人間の無力さも痛感しました。
    師匠がおっしゃたようにこんな時にこそ音楽があるのかもしれないですね。髙橋さんのフルートの音色をまた聞きたくなってきました。

    1. 私はパリに住んでいるので何も出来ませんが、思い出に残る音楽は!
      嬉しい時、悲しい時、辛い時、そんな時に聞いた音楽が思い出に残ると思う。
      時間とともに思い出は薄れても、その時に聞いた音楽を聞くと過去の出来事が蘇る、
      音楽て不思議だよなぁ 頑張れ。
      また!由起さんの音色聴きたいなー。

      1. 小雪さま
        コメントありがとうございます!
        温かい励ましとっても嬉しいです。
        私も音楽と一緒に匂いとか景色とか思い出とか、色々蘇ります。
        食べなきゃ死んじゃうけど、私は音楽がなくても死んじゃう笑。
        また演奏聴いて欲しいです!
        パリでサーモンチラシも食べたいです。

    2. Eisukeさま
      またコメント頂きとても嬉しいです!
      昨夜もすごい雨でしたね。自然の前では無力なのかと色々考えさせられます。
      Eisukeさんもボランティアに行かれたのですね。
      他人事ではなく、本当に皆が心を寄せ合って、助け合っていかないといけないですよね。
      私もまだ回りが復旧作業をしているので、出来ることをしていきます。
      フルート、また演奏しますので、ぜひ聴きに来てくださいね!
      感じたことを表現していきます。

  2. とても考えさせられました。
    先生の話は毎回とてもためになります。
    私たち生徒にとって高嶺の花です。

    1. しゃもじさま
      高嶺の花って、褒め言葉ー!?笑。
      どうもありがとう。
      いつもは見えない人の姿ってきっとこういう時に
      見えたりするね。
      自分がどう感じてどういう事を考える人間なのかも
      非常の時にはよく分かる気がします。
      よりよい自分になれるように日々を過ごしていきたいね。
      またコメントお待ちしています。

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