ブレない!

昔、師匠に言われた言葉の一つに

「Yuki、音楽家はなにがあっても、奏で続けなければいけないんだよ。
たとえ両親や兄弟が亡くなった瞬間、
舞台を待つ舞台袖にいたとしたら、迷わずステージにあがらないといけないんだ。
それがプロフェッショナルというものなんだよ。」

という言葉がありました。

2011年の3月11日に東日本大震災が起きたとニュースで分かり
その日のレッスンに気が動転してしまい、
涙が止まらなくなった私にかけてくれた一言でした。

当時は留学中だったので、日本で大変なことが起きているのに
フランスの社会は当たり前だけど普通に回っていて、
なんだか自分だけが取り残されたような気分になりました。

親兄弟ともまだ連絡が取れず、自分の大切な人たちが
大変な状況なのに、私は何をしているんだろう、とも思いました。

最近、コロナをはじめ色々なことがあり
心穏やかでない日々もありますが
なんとなく、師匠の言葉の本質が分かり始めた気がします。(遅いな!!笑)

何かひとつの物事が起きた時に
自分の軸となる感情がブレないこと、
これは本当に大切なことなんだと感じます。

それは例えば悲しい出来事を悲しまないで我慢する、
素直に心で感じない、ということではなく
悲しい状態を感じている自分を俯瞰する、ということです。

当初は、だって悲しいんだもん、今日は何も出来ない…
なんて思っていましたが
そんなことで一日を棒に振ることは意味がない。

どんな場所でも、誰が相手でも
自分のやるべきことをしっかりやる。

フランスでその後習った別の師匠も、今ミュンヘンでPlayしている師匠も
演奏を聴くと、秘めたる内側にものすごいパッションがあります。
でも、それは見た目じゃ分からない、
音ににじみ出るものなんですね。
見た目的にはものすごくクールです。

きっとそれがホンモノなんだよな。

Yuki、人の大事なものはココにあるんだよ、と胸の真ん中に手を当てて
教えてくれた師匠もいました。

見えないけれど、そこにブレない大事なものがある。
なんか星の王子様みたいだな。

何かが起きるたびにブレて、自分の軸となる音楽に
影響が出るようでは、まだまだベイビーちゃんなんですよね。

私も色々なことが起きて、昔に比べて音楽に影響は出なくなりましたが
ふとした瞬間に色々な感情に支配される時があります。

演奏している状態って、パッションはありながら冷静でもあり
相反する2つのことをやっているので
なんというか、無、の世界というか
極限、突き詰めていけば
ある種の瞑想状態に近いと思います。

余計な雑念がもし入ってきたら
(例えば、ああー次の音でるのかなあ、とか、ここ苦手だよなあとか)
その時点で失敗します。

失敗の経験もたっくさんあります(笑
でも音楽に入り込むと、無、になって本当に幸福感だけが残ります。

音楽をやるって
自分にとってはある意味、修行の一面もあるんだよなと感じます。

湧いてくる感情には素直に、でもそこにずっと縛られず
自分自身を俯瞰する。

もっともっと音楽に近づくためには。

日々、様々なジャンルからヒントを得て考えます。

そういえば、金曜ロードショーでタイタニックが放映されますが
最後まで演奏を続けた楽団員とか、
本当にどういう心境だったんだろう…。

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